密息で身体が変わる@中村明

「密息」で身体が変わる (新潮選書)

「密息」で身体が変わる (新潮選書)

尺八奏者でもある著者がたどり着き、本来の日本人の身体性にいきいきと迫る。面白い。
文化を支えているもの、嗜好を左右しているもの、人間というものを裏付けているもの、それはからだに他ならない。からだをそもそも心や魂と別に考えるのが無理があるのかもしれない。

それにしても、日本人の身体感覚の基盤となる着物をいとも簡単に手放してしまったその姿勢になんとも口惜しい気持ちもする。そして現代の着付けで締める部分は明らかにウエスト部分なのが以前から気になっていたのだけれど、やっぱり腰紐は腰に締めなきゃね。

本当にうなづけることが多く、素晴らしい本なのだけれど、ここでいう密息を実践すると着物のときはいいけれど、ドレスの似合わないからだになりそうです。美的感覚の違いははっきりと理解できるのだけれど、そうはいっても相対評価の気になる軽薄さを捨てられない。なんとも難しいところ。