テロル@ヤスミナ・カドラ

テロル (ハヤカワepiブック・プラネット)

テロル (ハヤカワepiブック・プラネット)

愛の物語。とはいえ過酷かつ残酷。テロリストを生むそのどうしようもないスパイラルを読み解く鍵がここに確かに描かれているように思う。普通の人たちが自爆テロを行う恐ろしさ。人間が不幸に落ちていくことは、もう運命としか思えなくなるほど絶望と徒労を感じる。
地球上から争いがなくなることのない途方も無さを思うと、宗教家のいう平和という言葉が安っぽく思える。平和のためにできることはあまりにも少ない。
矛盾するけれども、神頼みしたくなる。