時間の単位

なんだかんだで時間に追われる日々。
それを省みてみようと思うことが。

一シュ(火主)という単位がある。線香一本が燃え尽きるまでの時間のこと。これはよく座禅の時間単位として用いられている。静かで正確な時間感覚。時計がカチカチと時を刻むのと違って、静かにじりじりと灰になっていくのは視覚的にも時間を捉えているようにも思う。

先日行った落語会で『立ちきり』がかかった。
この話のヒロインは芸者。要となるのが線香一本分の時間。
昔は芸者が座敷に上がるときに使う時間の単位も線香ではかったという。(なので芸者の花代を線香代とも言う)。線香が燃え尽きると時間切れ、なんて色っぽい。(もちろん二本三本と継ぎ足していける。)

線香で時間を感じるなんてことは、私の日常にはないことだけれど、先端を時折あかるくしながら、あとからあとから灰になり煙をたちのぼらせる線香の姿は、はかなくそれでいて絶え間なく流れ続ける時間の姿をみせてくれる。ふっつりと立ち消えるまで、さあ長いのか短いのか…。