対決 巨匠たちの日本美術@東京国立博物館

sayosayosayo2008-07-29

ひさびさにオフの火曜日。ああ、ほんとうにひさびさ。
ということで、ライフワークのひとつである美術遊覧。

優先順位を色々と考えてみたけれど、まとりあえずこれは行っておかないと。上野へ。

最近国立博物館の展覧会は激混み。恐ろしいばかり。平日の昼間にみんな何しているのかしら?と自分を棚に上げて思うほど。

さて、展示内容は…流石に巨匠たちが揃いも揃っているので迫力はあります。だけど、『対決』をテーマにすることにはちょっと抵抗がないわけでもない。美術というのは、たてまえではナンバーワンよりオンリーワン。なので、対決なんて好戦的な企画は人寄せの金儲け主義?という疑念も。まあ、良く考えてみると比較するという手法はそのものの本質をつかむのにとても大切で明確な手段の一つでもあるのだけれど。

まあ、ちょっとだけ割り切れなさも感じつつもそれぞれの作品の力に引き込まれる。


運慶×快慶 ずしんと下にある重心×浮力を感じる仏性
雪舟×雪村 苛烈×のんびり
永徳×等伯 火の燃えるような、轟と水が流れるような×風にそよぐ、静かな画面
長次郎×光悦 いずれにしても、どろりとした欲の焼きつく茶碗
宗達×光琳 美しいデザイン×色気
仁清×乾山 見事な工芸美と凝った意匠を生かすデザイン×箱庭的密度をもった鮮やかさ
若冲×蕭白 いずれにしても、狂を垣間見ている
応挙×芦雪 生き物を捕らえる視線×手段を選ばないような大胆さ
円空×木喰 むき出しの魂そのもの×密度の濃さに息が

一部省略しちゃったけれどもこんな雑感。

特に印象的だったのは、まったく逆方向に重力を感じる運慶と快慶
円空は、恐ろしいほどのむき出しの魂で、美術品にはない力がある。ぬるぬるとした魂の生暖かさが気持ち悪いけど。木喰はなんだか脂ぎった印象も感じるほど密度が濃い。息が詰まる。
等伯は史実から見ると相当な野心家だったと思われるのに、あの静かに水の上を渡る風のような気持ちのよい画面はどうだろう。(まあ等伯は好みなだけかも)
一方の生粋のエリート永徳の生き生きとした息吹を自然の隅々画面の隅々に現す自信に満ちた作品。比べられているけれど、二人は違う世界を生きているようにも見える。
結局、なんとも個性的な過去の偉人たちをまとめるのには都合のいい「対決」という切り口なのかもしれない。
なんとなくだまされた感じもしなくはないが、やっぱり作品も豪華で満足〜♪
といいつつ、強欲な私はこのあと資生堂ギャラリーにもハシゴするのでした。