MOTアニュアル〜装飾

装飾を。
がらんとした館内。
そして静かな展示室で、じっくり見られて満足。

今回はやっぱり山本基が目玉でしょ!と目当てでいったのでそわそわと展示室へ。

やはり圧巻でした。
圧倒的な静けさと、息が詰まるような美しさ、そしてどこか祈りに似た明るさ(光?)を感じることができるすばらしい作品。
前にどこかで書いたかもしれないけれど、死者をおくる、という気持ちに近い静粛さがある。それは塩のもつ独特な雰囲気によるものかもしれないけれど。

そしてもうひとつの目当て、塩保朋子の切絵。
この人の作品は最初にINAXギャラリーで目にして、度肝を抜かれてからずっと注目しているうちにさまざま取り上げられているようで、展覧会でたびたび触れることもあったのだけれど今回感じたのは、ネガとポジが同じくらいの重みを持つ切絵という表現の特異性。
切絵そのものの作品と同等にときにはそれ以上に作り出す影絵の美しさを持てる、ということは切絵表現の可能性の大きさにつながるのでは。
最近ネガとポジについて、結構考えることがあるのでそう思ったのかも。

ネガ、ポジ、そして光と影、陰と陽、というような対比、であり背中合わせの相似に、いまとっても興味がある。
まあ、それはともかく、
塩保朋子の作品は女性ならではの、凶暴な繊細さ、というか繊細な凶暴さ、が魅力的。炎とか吹雪とか嵐とか波とかそんな自然の脅威のような感じも。

あとは、野老朝雄のわかりやすさは面白いかもしれない。