若冲の動植彩絵にみる都市生活者の喪失感

最近聴きに行っている講演のテーマ。今日は若冲の動植彩絵。執拗なほど丹念に精密にそして鮮やかに描かれる花鳥の、その強烈なインパクトは最近あらためて取りざたされることも多い。

今日はたくさんの資料を見せてもらいながらの解説。動物の表現からみる若冲の性倒錯嗜好だとか、女性への忌避意識…そして、作者本人の意識無意識だけでなく、そこに象徴されるのは都市生活者の自然への憧憬の表出。
若冲の立場(商人として契約と貨幣を扱う生活。まるで現代人?)から経済活動によって失われていくもの(文化や自然そのもの)への憧憬やノスタルジー、寂寥感をすくいあげる表現だったという話。

なるほど。

それにしても、よくみると若冲ってポップで斬新なだけでなく、エロティックで不吉な死の気配を纏っている。死の気配についてあんなに色濃い画って、そうないかも。